土橋(どばし)

土橋全景 路面の盛り上がりがまさに橋

JR新橋駅の北側に「土橋」とよばれる場所がある。
もちろん、暗渠化された川にかかる橋の跡である。

今でもこの土橋を案内の目印にする店舗は多いが、私がこの「土橋」を意識させたのは都営バスの案内である。
時は昭和末期、私が詰襟に身を包む学生だった頃・・・

「土橋」の上には「新橋」(後年「新橋駅前」)停留所が存在したのだが、都営バスに数人残っていた車掌さんのうちお一人がこの「土橋」を通る系統を担当されていた、そしてこの車掌さんが乗務する車ではこの停留所「次は新橋、土橋でございます」とかならず案内をされていた。その耳慣れない名称と車掌さんの発音の仕方が長い間に耳に残ってしまったのだ。

殊に当時でも大半となっていたワンマンカーのテープは「新橋駅前」とだけ案内していたので、「土橋」の名称はこの車掌さんの便に当たったときだけ聞くことができる「大サービス」のようなものであった。(その他にも「虎ノ門三丁目、元 巴町」「西麻布、元 霞町」など旧地名で案内してくれる「サービス」もあった)

それから20年近くが経ち、気が付くと車掌さんの乗務するバスはおろか土橋を通る路線バスはすべてなくなっていた。
(写真の右側に停留所ポールの枠だけが残っているのだが、拡大してもおわかりいただけなさそうなのが残念である)
それでも当たりの風景がそう変わっていないこの近辺、なんとなく車掌さん乗務のバスが走ってきそうな気がしてならないのである。