知らぬは恐ろしきこのボタン

左が非常ブレーキ・右が通報

先日、久しぶりに地方型ワンマン運転(海外ではこの表現は通用しないらしい)の鉄道に乗車する機会があった。
その際に写真のような通報ボタンと非常ブレーキボタンを見つけたのだが、これをみて数年前の忌まわしい出来事が思い出された。

数年前のこと・・・私は旅行である閑散路線のワンマン列車に乗車していた。乗客は私と年老いた男性1人だけ。
夜も深まり、あたりは真っ暗になった山中を列車は決して速度は高くないながらも快走していた・・・そのとき老人が突然立ち上がったかと思うとあるボタンを押した。すると車内けたたましい警報音が鳴り響いた。非常通報ボタンを押したのだ。
私から見て何か異常があるようには見えなかったので話を聞くと、どうもワンマン列車ということで「バスのように降りる駅ではボタンを押さなければ降りられない」と思ったらしい。
私が「これは乗務員に通報するボタンである」ことを説明したところ、さらに老人は「あ、こっちか」と言い、別のボタンに手をかけようとした・・・私はさらに焦った。それはもっと急を要する事態が発生したときのための非常ブレーキボタンだったからだ。
私は顔面蒼白になりながら老人を静止したのは言うまでもない。

幸いなことに乗客は2名だけであり、誤操作であることが運転士氏にも明白だったため、列車は急停止することなく次の駅まで走り、そこで運転士氏が警報を解除してくれたが(当然ながら老人はこの駅で降りた)、これで急停止していたら旅行にも影響が出かねないところだった。

知らないことは凄く恐ろしい・・・